目次
- 1. 送信者認証(ドメイン設定)
- 2. レピュテーション管理(最重要)
- 3. 設定セットとイベント処理
- 4. 監視と可視化
- 5. IP戦略とウォームアップ
- 6. アプリ実装と可用性
- 7. セキュリティ
- 8. 補足(2026年の動き)
- 優先度の高い順チェックリスト
1. 送信者認証(ドメイン設定)
- アドレス単位ではなくドメイン単位でIDを検証する。 本番送信の前に済ませておく。
- Easy DKIM(2048bit)を有効にする。
- カスタムMAIL FROMドメインを設定する。 SPFのアライメントを取るため。SESだけで送るなら、次のようなTXTレコードを追加する。
v=spf1 include:amazonses.com -all - DMARCを公開する。 最初は
p=noneで集計レポート(rua)を受け取り、問題がなければquarantine、rejectと段階的に強める。認証に失敗している送信元は、DMARCレポートで特定できる。 - GmailとYahooの大量送信者要件に合わせる。 SPF・DKIM・DMARCの3つを揃え、マーケティングメールにはワンクリック配信停止(RFC 8058の
List-Unsubscribe-Post)を入れる。
2. レピュテーション管理(最重要)
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バウンス率と苦情率を常に監視する。 SESのしきい値は次のとおり。
指標 審査対象 送信停止のおそれ 運用の目安 バウンス率 5% 10%前後 2%未満 苦情率 0.1% 0.5% 0.1%未満 -
アカウントレベルのサプレッションリストを有効にする。 ハードバウンスした宛先や苦情を出した宛先には、二度と送らないようにする。
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マルチテナントSaaSではテナント別サプレッションリストを使う。 2026年6月から、バウンスと苦情をテナント単位で分離できる。1社の悪いリストが他社の配信に影響しにくくなる。
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Email Validationを使う。 送信前にアドレスを検証してバウンスを減らす機能。アカウント単位または設定セット単位で設定できる。
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リストを清潔に保つ。 購入したリストは使わず、ダブルオプトインにし、長く反応のない宛先は定期的に削除する。登録フォームにはCAPTCHAなどの悪用対策も入れる。
3. 設定セットとイベント処理
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すべての送信に設定セット(Configuration Set)を付ける。
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イベントを外部に流して自動処理する。 Bounce・Complaint・Delivery・Reject・DeliveryDelayをSNS、EventBridge、Firehoseに送り、アプリ側のDBで宛先を自動で無効化する。
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ストリームを分ける。 トランザクションメールとマーケティングメールで、次のものを分ける。
- 設定セット
- 送信サブドメイン(例:
mail.example.comとnews.example.com) - IPプール
マーケティングの評判が悪くなっても、パスワードリセットなどの重要メールは届き続ける。
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トラッキングの同意を宛先ごとに扱う。 2026年8月から、SendEmailやSendBulkEmailのリクエストで、開封とクリックのトラッキング設定を直接指定できる。
4. 監視と可視化
- Virtual Deliverability Manager(VDM)を有効にする。 2026年5月に、受信トレイ到達率(インボックスプレースメント)とブロックリスト監視が追加された。
- CloudWatchアラームを設定する。
Reputation.BounceRateとReputation.ComplaintRateに、SESのしきい値より低い値でアラームを作り、停止される前に気づけるようにする。 - 送信量が急に増えたときのアラームも用意する。 アカウントの乗っ取りや不具合を早く見つけるため。
5. IP戦略とウォームアップ
- 少量〜中量なら共有IPで十分。
- 大量に安定して送るなら専用IPを検討する。 専用IPには必ずウォームアップが必要。自動でウォームアップする「マネージド専用IP」を使うと楽になる。
- 新しいドメインやIPでは送信量を少しずつ増やす。 いきなり大量に送るより、一定量を継続的に送るほうが結果は安定する。
6. アプリ実装と可用性
- 送信レート上限を守る。 スロットリングエラー(
Throttling、MaxSendRateExceeded)が返ったら、指数バックオフで再試行する。キュー(SQSなど)を挟むと安定する。 - 新規開発はSES API v2を使う。
- マルチリージョン構成にはGlobal Endpointsを使う。 API v2の送信を、プライマリとセカンダリのリージョンにアクティブ/アクティブで自動的に振り分ける。
- 本番前にメールボックスシミュレーターで試す。 バウンスや苦情の処理が正しく動くか確認する。
7. セキュリティ
- IAMは最小権限にする。
ses:SendEmailの対象IDを絞り、ses:FromAddressなどの条件キーで送信元を制限する。 - SMTP認証情報は定期的にローテーションする。 長期のアクセスキーは使わず、できる限りIAMロールを使う。
- VPC内から送るならVPCエンドポイント(PrivateLink)を使う。
8. 補足(2026年の動き)
- Amazon Pinpointでメールを送っていた場合はすぐ移行する。 Pinpointは2026年10月30日にサポート終了の予定だった。SES本体などへの移行を確認する。
- 受信処理や社内メールゲートウェイにはMail Managerを検討する。 2026年4月にmTLS対応と、Lambda呼び出し・Bounceのルールアクションが追加された。
優先度の高い順チェックリスト
- ドメイン認証(DKIM・SPF・DMARC)を揃える
- サプレッションリストとバウンス・苦情イベントの自動処理を入れる
- 設定セットでストリームを分ける
- 監視(CloudWatchアラームとVDM)を設定する
- ウォームアップとリストの手入れを続ける
参考
- Amazon SES now offers inbox placement metrics and blocklist monitoring
- Amazon SES now supports tenant-level suppression lists
- Amazon SES now supports open and click tracking override parameters
- Amazon SES Mail Manager adds new features
- Amazon SES announces email validation
- AWS re:Post – Amazon SES articles
- AWS Messaging Blog
- Amazon SES Deliverability Setup Guide (2026) – Mailwarm